当社で一番多いご相談は、不動産売却とリフォームですので、

建物価値に関する事項かもしれません。

価値、というのはいろんな観点でみることで全然違ってくるのでご注意です。

固定資産税価値から言えば、築25年以上の木造住宅は築80年の住宅と同等の課税額かもしれません。

が、住まい方、修繕などの手の入れ方で印象はかなり変わってくるはずです。

 

一方、同じ築40年のもので、ほぼ何も改修していないものと、水回りをはじめ改修・リノベーション仕立てのものと比較した場合、

特に好みが合致し気に入った場合やあまりこだわりがなく即入居を目的とすればリノベ物件を選ぶのが最適と考えますが、

こだわりのある方やじっくりと考えたい方にとっては、自分好みのリノベ物件にしたり古家を更地にして新築したりするためには

改修なしの古家状態で安く入手できる方がよいという考えもあるのです。

 

 

以前、いわゆる「再建築不可」物件の古家の物件をお持ちになったご夫婦のご紹介がありました。

なぜそのような土地をわざわざ、と伺ったところ、「息子の家の隣」だということです。

再建築不可物件ですのでかなり安かったのだが、いざ計画しようとするとなかなか設計してくれる人がいないとの事でした。

不動産価値的にはかなり低い評価ですが、当事者にとってはピカ一の物件ということでしょう。

共働き若夫婦が安心でき、孫の面倒を見つつ終の棲家を手に入れることができるということです。

元の建物がとても小さな住まいでしたが増築することなく、耐震補強と外装改修・設備更新・間取と内装改修と

ガレージを木製デッキにしたりテントを付けたりと楽しいアイデア満載の住まいを心掛けました。

元の建物は築50年以上の建売住宅だったのでそれなりの手を入れる必要がありましたが

一般に「無価値」とされる古家も、そのご夫婦にとっては「夢いっぱい」の古家でもあったわけです。

(「再建築不可」とは現行の建築基準法における建築可能な敷地と認められない土地を指します。

「建築」は新築・増築などで、既存建物を改修する方法となります。)

 

よく聞かれるのは「改修と新築とどっちが安い?」ですが、何と何を比べるかで答えは違ってくるはずですし

質問された方の価値観によってその返答はご満足いただけないかもしれません。

価値、あるいは価値観、とは深いなあとつくづく思います。

有限会社オリガミックアーキテクチャー